小堀遠州顕彰会設立の趣意

  
  小堀遠江守政一侯(江州小室城主)は、古来、村田珠光、武野紹鴎、千利休、古田織部正と続いた
  茶道の本流を継承し、五大宗匠の一人としてわが国の茶道界に偉大な足跡を残した。
  また千利休は茶道の精神面に不滅の基礎を確立した。
  これをついで小堀遠州は類いまれな美的感覚をもって茶道に美の肉付けをし、これによってはじめて
  わが国の茶道は高雅優美なものとなったのである。

  遠州侯の影響力は国内に止まらず、中国、朝鮮、ヨーロッパにもおよび、その美に対する感覚はいわゆる
  中興名物の数々をはじめとする美術工芸品や建築造営、築庭造園として今日、世界に誇る
  国の指定文化財としてだけではなく、広くわが国の文化財として大切に保存され、流派を超越して
  普遍的な世界を作り、現在まで芸術文化に多大なる貢献を残している。

  茶道文化は、個々の美術品でその真価を発揮されることはなく、建築造営、築庭造園、美術工芸品など
  相互の調和によってはじめて具現されるところに総合芸術としての価値がある。現在、遠州侯の指導によった
  それらの物が、諸家に私蔵され、たとえ文化財として公開されていても、美術品が一ヵ所に集められ
  その美を発揮することはまれである。ましてそれが一般大衆に公開される機会はことに少ない。

  以上のような現状から、小堀遠州侯の330回の大遠忌に際して小堀遠州顕彰会を設立、発足させ、
  広く一般に遠州侯の作り出した総合芸術を具現するための茶会を開催した。しかし私的なものとしての
  活動では一般大衆への普及目的の実現にも限りがあるため、このたび財政的基盤を確立し、
  財団法人小堀遠州顕彰会を設立した。

  本会は主たる活動として茶会を開催し、また遠州侯のまだ世に知られていない事跡、業績、これを知る書簡、
  文書などの調査・研究、遠州侯に由来する名物・好み物だけではなく、そのほか遠州侯にかかわる書跡、
  絵画ならびに工芸品の展観・講演、さらにこれに関する出版刊行を行うことにより、本来の茶道芸術を再現し、
  日本の伝統文化を広く認識させるとともに次代へ正しく伝承し、現在ならびに将来の国民大衆に日本文化の
  理解の指針を与え、情操教育の場とすることによってわが国文化の発展に寄与することを目的とする。

                                             
                                           昭和53年4月1日